プロダクト開発をしていると『どこから手をつけようか?』と考えることは少なくない。 やりたいこと・やらなければいけないことが沢山あるなかで、リソースは限られるので今最もやるべきことを常に考えて取り組んで行かなければいけない。 では最もやるべきことはどうやって決めたら良いのか。 プロダクトが達成するべき目的は決して一つではないことが多い。 顧客が求める価値や品質はさまざまある。 その顧客の満足度と品質の関係をうまく表したのが『狩野モデル』である。 『この施策は顧客満足度のどこに影響をするか?』というのを、このモデルを当てはめて考えてみると今やるべきことが整理できたりする。
狩野モデルとは?
狩野モデルの説明は調べてもらえれば色々な記事で取り上げられているのでここでは深く説明はしないが、製品の充足度と顧客満足度の関係を捉える上でとても参考になるモデルで、5つの要素で分類している。

当たり前品質 | 充足されていても当たり前と受け取られるが、不充足であれば不満を引き起こす |
一元的品質 | 充足されていれば満足を引き起こし、不充足であれば不満を引き起こす |
魅力品質 | 充足されていれば満足を引き起こすが、不充足であっても仕方がないと受け取られる |
無関心品質 | 充足されていても不充足であっても満足度には影響を与えない |
逆品質 | 充足されていれば不満を引き起こし、不充足であれば満足を引き起こす品質要素。 人によって満足度が異なる要素 |
施策を実行する上では、その施策がいったいどこにあてはまるかを考える。 もちろん最優先でやるべきは『当たり前品質』で、ここまでを最速で引き上げないといけない。 ここまで持ってきた時点で、あとはどの特性を伸ばしていくかを考えるのが戦略だ。 大事なのは『当たり前品質』を始め、プロダクトに求められる品質というのは常に変わりつづけるというということだ。 時間がたてば求めらるハードルは上がり、以前は魅力品質だったものが当たり前になるし、場合によっては『もうそれいらないよ』みたいになることもある。 たとえば、20年くらい前だったらお店にホームページがあるとかは魅力的だったのかもしれないが、今はあって当たり前だし、LINEの運用なんかも普通だったりする。 逆にいえば導入していなければ速攻導入したいわけだ。 ラジオは廃れてきて『音声はもうオワコン』と思われていたが、2021年くらいからはまた音声メディアが盛り上がったりしている。 この感覚を忘れないために常々市場を見ておかなければいけない。
個人や組織の成長にも当てはまる
実は今日思っていた本題はここからなのだが、最近よく思うのは個人の成長やチームの成長にとっても狩野モデルは当てはまるなと思う。 個人やチームの成長にとって以下の様なことをよく考える。 このバランスをとるのに結構頭をつかう。
- サポートを手厚くすればスムーズに成長はするが、自身で考える習慣が身に付かなくなる。
- とはいえ、最初から突き放してもいつまで経っても成長しない。(もしくは潰れる)
- 自走力を鍛えるとはいえ、わかっている失敗を繰り返すのは無駄でしかない。
マッチョな思想なら『見て学べ』『自分で考えろ』的なことなのだと思うが、そもそも必要なレベルに到達していなければコストがかかってしょうがない。
人材育成にも狩野モデルは有効
ということで、やはりオンボーディングやガイドラインを充実させて、最低限の品質は維持しなければならない。 この最低限の品質が要するに人材のレベルも『当たり前品質』なのだなとイメージが湧いた。 『もうこれはこの業界ならば当たり前』だと思うレベルまではガンガン引き上げればいい。 ここまで引き上げてから自分で考えるスタイルを育めばよい。 ここから個々の特性を伸ばして魅力的な要素を伸ばしていけば良い。 昔の人は守破離とはよく言ったものだなと思った。 なので、現在の個人としてや組織としての『当たり前品質』はどこなのかというのを常に気にしないといけないと思うのであった。